はじめに
今回ご紹介するのは、こちらのイラストの作成手順です。
作業環境
イラストの制作は、全てiPadのClip Studio Paintで制作しています。
今回は72dpiで1200×2400のキャンバスです。
資料集め
二次創作の場合は、ここで立ち絵や三面図を探したり、ファンアートを漁ったり、構図の参考とかを探しに探すのですが……
今回は自分自身でデザインしたビジュアルでの制作なので以前作った二面図をベースにしつつ、細かいところは思いつきで手を加えながらの作成となりました。
構図も、最初から立ち絵を描きたいというのがあったので、軽く動きをつける程度で手癖寄りの制作となります。
それでは、描いていきましょう。
イラストメイキング
構図を考える <あたり&ラフ>
まずは単純な図形を組み合わせて、どんなポーズにするかのイメージを固め、肉付けし、服を着せます。
絵によっては段階を踏まずに1レイヤーで描いては消してをしたりもしますが、今回はバランスを取るために丁寧にスタートしたので3レイヤーに分けました。
使用したブラシは、初期ブラシの「濃い水彩」です。
ある程度の色の濃さで描けて、描画時の遅延(?)ラグ(?)があまり無いブラシが、ラフを描くときには使いやすいと思っています。
バランスを調整して形を決める <線画>
ラフができたらラフのレイヤーの不透明度を20%ぐらいまで下げ、上に新規フォルダを作成します。
このフォルダに馬鹿みたいにレイヤーを分けながら線画を描いていきます。
後で統合するのでどんどんレイヤーを重ねます。
起こした線画がこちら。
使用したペンは初期設定のままの「Gペン」です。
塗り分けをするときにバケツツールを使って楽をしたいので、隙間があまり開かないように気をつけて描いています。
デジタルの強みを活かして一通り描いた後にサイズ感などをいじるので、だんだんラフから離れて行ったりしますが、今回は比較的ラフに忠実。
最終的なレイヤー構成は、大体下記の通りにしてます。
いつもこれなのでレイヤーに名前とかつけなくなってしまいました。
- 足
- 服・胴
- 髪飾り
- 髪の毛
- 輪郭
- 顔
顔から描き始めるので、上に上に重ねてレイヤーの順番がこうなります。
そして、最後に一番上に新規レイヤーを追加して線画の調整や服の皺などの描き込みを行います。
皺と髪の毛がわかりやすいでしょうか。
服が重なる部分の線を少し太くするなどの調整も行い、微かに立体感を持たせます。
これで線画フォルダは一旦完成です。
色をのせる <配色&塗り込み>
線画が完成したら、線画フォルダの中の顔パーツのレイヤーと最後に追加した調整レイヤーを非表示にしします。
バケツでの塗りつぶしをしやすくするためです。
線画フォルダの下に塗り用のフォルダを作成して、塗っていきます。
ベースカラーの配色
まず、全体のベースとなるレイヤーを作ります。
背景透過で保存してもなんか抜けてる…を避けるためと、最終的な加工のためです。
穴が開かないように、線画レイヤーを非表示にしたりしてしっかり塗りつぶします。
カラーはちょっとくすんだピンク色を気分で選んでいます。
ベースができたら一度非表示にしておき、全体の色をおいていきます。
基本的には色ごとにレイヤーを分けています。
バケツツールで塗れる分を塗って、細かい隙間をペンツールで丁寧に埋めます。
全体の色を置いた後に顔パーツを表示させ、髪の毛のレイヤーで眉毛も塗っておきます。
また、塗り用フォルダの中に新規で目用のフォルダを作成します。
目はレイヤー数が多くなるのと、あとでサイズや位置を調整したくなることが多いので、フォルダを分けておきます。
白目レイヤーと黒目レイヤーで色を置いたら、ベースカラー設定は完了です。
ここからはパーツごとに塗り込んでいきます。
基本的には、ベースカラーのレイヤーの上に新規レイヤーを作成し、そのベースレイヤーにクリッピングさせて色を重ねていきます。
基本的な使用ブラシは、初期ブラシの「透明水彩」。
広い範囲をグラデーションに塗りたい時は「塗り&なじませ」。
レイヤーは触れていない限りは全て通常レイヤーです。
目を塗る
塗り込みは、まず目からやることが多いです。
目に光が入ると、一気に完成形を想像できるようになって楽しくなるからです。
最初に、白目のレイヤーのクリッピングレイヤーに影をのせます。
今回は髪色が青系の色なので、ほんのり青みグレー。
黒目は、5色使ったので、5レイヤーをクリッピングさせました。
①上半分に影色をのせ、
②さらに濃い色で瞳孔と虹彩を描き込み、
③肌の反射光と
④光源の反射っぽいものをふんわりとのせ、
⑤ハイライトを書き込んだら、完成です。
基本的には「透明水彩」を使用していますが、ハイライトだけはGペンでかっちりとした線にしています。
肌を塗る
続いては肌を塗っていきます。
肌のベースレイヤーの上に新規レイヤーをクリッピングし、「透明水彩」で影を描き込みます。
さらにもう1枚新規レイヤーをクリッピングさせ、先ほどの色よりもう少し濃い色を重ねます。
さらに新しいレイヤーでお好みのチークを「塗り&なじませ」でうっすら頬にのせたら、同じレイヤーで同じカラーのまま、初期ツールの「粗い鉛筆」で斜線を入れます。
この時、肩や膝、指など、関節を露出していたら、同様にチークをのせて赤みを入れてあげます。
最後にハイライトをのせたら、肌の塗りは完成です。
今回は肌の色が白めで影もそんなに書き込まなかったので、ハイライトは気持程度ですが、鼻の辺りなどにのせています。
髪を塗る
続いて髪です。
髪のベースレイヤーの上に新規レイヤーをクリッピングしたら、ベース色よりも少し暗い色を影として「透明水彩」で描き込みます。
さらに上に新規レイヤーをクリッピングしたら、さらに暗い色を重ねて情報量を増やします。
もう1枚新規レイヤーを上にクリッピングして、ハイライトを描き込みます。
今回はベース色が淡い色なので、ハイライトもふんわりのせるだけにしました。
「透明水彩」で白を薄く伸ばしながら、頭の球体やお団子の部分に当たる光を考えます。
この子は耳の中の色とハイライト色が一緒なので、このタイミングで一緒にうさ耳の中も塗っています。
服や装飾品を塗る
レイヤー構成も使うブラシも代わり映えしないので、一気に塗ってしまいましょう。
左が、服の模様などを書き込んだ状態。
模様があるカラーのレイヤーに新規レイヤーをクリッピングして描いています。
右は、影を描き込んだもの。
模様などがなければ、ベースカラーよりも少し彩度と明度を落とした色を通常レイヤーで描き込みます。
模様がある場合は、クリッピングするレイヤーを乗算モードにして、彩度が低めの色で描き込みます。
最後に、金属部分を中心にハイライトをのせて、塗り込みの作業は完了です。
全体を調整する <加工>
各パーツを塗れたら、最後に色々整えて雰囲気を作っていきます。
この作業が一番苦手なので、よくわからないまま神絵師の見よう見まねでやっています。
線画の色を変える
線画は、色トレスをするために真っ黒から色を変えていきます。
線画だけだとこんな感じです。
線画のレイヤーの透明部分をロックして、直接色を変えています。
今回は基本的に青みのある色にし、輪郭だけ赤みが欲しかったので茶色です。
顔パーツだけは別途色調整を行うので黒のままです。
この色分けができるように、線画のレイヤーを分けるよう心がけていたりします。
線画の色を調整したら、顔以外の線画レイヤーを焼き込み(リニア)モードに変更します。
フォルダ分けしているとレイヤーのモード変更が反映されないので、フォルダのモードは通過に変更します。
これで、色トレスができました。
この時、線画の裏に色がのっていないと線の粗さが見えるので、最初に非表示にしておいたくすんだピンクのベースレイヤーを表示させます。
最後に、目の線画に色やハイライトをのせて、
髪の毛と被っているところを髪の毛の影色かそれより少し濃い色ぐらいで塗ってあげると、顔に透明感が出ます。
これで線画の加工はできました。
髪の毛を描き足す
線画レイヤーフォルダの上に新規レイヤーを作成したら、「Gペン」でおくれ毛などを書き足していきます。
個人的に、ここは線画の時よりも太めのペン設定がおすすめ。
影色やハイライトをスポイトして、線の端が馴染むように描いています。
どうしても色が馴染まない時は、ブラシや柔らかい消しゴムでグラデーションにしてごまかします。
奥行きを出す
今回は立ち絵ですが、体を少し捻って前後感がある構図にしたので、奥側の足や服を少しぼやかしておきます。
線画と塗りをまとめてクリッピングしたいので、ここまで描いたものをまとめたフォルダを作成し、その上に新規レイヤーを作成します。
ぼやかしたい箇所に「塗り&なじませ」で水色を重ねていきます。
これをクリッピングしてレイヤーモードを「スクリーン」に設定し、不透明度を40%に設定します。
色味を整える
もう少し青みが強くてもいいかなと思ったので、色味を整えます。
今回は、明るめの水色をベタ塗りします。
顔は赤みがあった方が好きなので、顔の部分だけ削りました。
このレイヤーを線画と塗りのフォルダにクリッピングし、レイヤーモードを「焼き込み(リニア)」にします。
あとは、好みの色味になるよう不透明度を調整するだけ。今回は7%にしました。
完成!!
と、いうわけでイラストの完成です。
さいごに
今回は、何時見なこの一枚絵のメイキングをお届けしました。
資料として用意していた二面図のデザインよりも等身が上がり、お顔なども大人っぽくなってしまいましたが、これはこれでカッコ良く描けたかなと気に入っております。
このサイト内でも、わたくし何時見のプロフィール画像として使用しています。
そんなお気に入りの絵のメイキングを形にできてよかったなと思っているので、そんな記事が何か少しでも絵を描く方のお力になれていたら嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
また何時でも見にきてくださいね。
それでは。
今回は、クリスタのイラストメイキングをお届けします。